この春の訪れとともに、大事にしていた場所が姿を変えていきます。
ひとつは、よく通っていた大津の滋賀会館。ひとつは、私も通った小学校。
滋賀会館の「文化施設として」の役目を終えることは、ジワジワとこたえています。
深く静かな喪失感とでも言いましょうか。
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「文化施設として」の最後を飾るように、館内いたるところで、展示、インスタレーション（インスタレーションが何であるか、私にはまだ少し不明なんですが）、ライヴ、パフォーマンスが行われました。
「滋賀会館の放課後２０１０」と名づけられたイベント。
去年の秋、ダンスで楽しい気分にさせてくれた「ぷ・みつなみ」のお嬢さん二人にまた会えたのが、嬉しかったです。今回も元気をもらえました。イキイキ！ありがとう！
「またどこかで会いましょう」と言ってくれたのを覚えていくよね。 |
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この会館のお役御免の訳も「老朽化」なんですけど、全館に漂う重厚さや本気度には、どっしりとした安心感も含まれていて、私はそこが好きだったんですよ。
もう入ることの出来なくなる場所を、くまなく歩きながら、いろいろと考えました。
ここの大ホールの舞台にも上がったなぁ。子供の頃のお琴の発表会で。会場の広さに怖気づくよりも、あてられるライトの強烈さに目がくらみましたってのを覚えてます。
社会人になってからは、会社からも近かったし、度ごとに通いました。いつまでも人形劇のお姉さんでもあるまいし、と思いながらも「人形劇フェスティバル」とか、ギャラリーの小さな展覧会とか。 |
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そして何と言っても「滋賀会館シネマホール」。
フランス、オーストラリア、フィンランド、香港、中国、台湾、韓国、スペイン、スイス、インド、イランに邦画・・・といろんな国の映画に触れさせてくれた「滋賀会館シネマホール」。
このミニシアターの無くなるのが、寂しくてたまらないんだな。
毎月届けられるのが楽しみだった、その月々の上映案内。お開きを機に、開館以来のが全部張り出されていて、その前でじんわりしてしまいました。
こんなにも観るチャンスはあったのに、思い通りに実現できなかったのが、今更ながら悔しいし、惜しいし。
広い世界に目を開かせてくれる、映画館の闇が必要だったのです、私には。
最後の上映に、アキ・カウリスマキ監督の「浮き雲」を持ってきてくれるなんて、泣かせるなぁ～、シネマホール！
今の店を始めるきっかけというか、始めるにあたって背中を押してくれたような映画なのです、この作品。
ひどくやりきれない状況なのに、ユーモアもあるし、苦難の末の明るい兆しのラストに報われるという。
私にはとても大切な映画。
最後にまた見て、原点回帰というか、自分へ再確認などしてしまいましたよ。
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会館の地下に銘店街のあった時は、店で出すお魚を買って帰ったな。
質のいいお魚が揃っててね、ここにあったお店。先に魚をみて「映画おわったら寄ります。」と用意してもらってた。
パンの仕入れ時、焼きあがるまでの時間に合わせて、映画を見たな。
同じく地下の美容室の先生は、いつも「今日はパン？映画？時間に間に合うようにカットしてあげるし。」と言ってくれるし。
すごい時には、パーマをかけてもらいつつ、銘店街の中華屋さんから冷やし中華の出前をとってもらい、食べ、映画の時間に間に合わせてもらうなんてこともしてもらったよ。
美容室の先生がラジオで聞いた、浜村淳の映画解説の一部も語ってもらいながらで（笑）
なんという、凝縮感！
生活というか日常にどっしり根を張っていた、滋賀会館でのひと時。
いろんな人に支えられている息づいている建物・・・という感じが居心地よかったんです。
今、主流のシネマコンプレックスの空気はどうも合わないし、ここが無くなったら、もう映画館で映画を観るということあまりしなくなるかもしれないな、これから。
ところで、守山に「大黒座」という映画館があったのを覚えている人って、今どれくらいいるんだろう。
私の上の世代は知っているはず？・・・。私の年代が、その最後の世代だろうなぁ、きっと。
あぁ、そうだ。小学校の授業の一つで、体育館で映画を観る会があったなぁ。
「幻燈会」って言ってた。
「映画会」より「幻燈会」って言葉、いい響き。
シネコンより、映画館や幻燈会という響きがしっくりする古いめの世代なんだろうなぁ、私。
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まぁ、古いめの世代には憩いの場であった「文化施設としての滋賀会館」へ、お疲れさま！ありがとうね！と、グッバイ！と声かけてあげたいです。
まだ建物としての役目は続けているし、これからも用事があれば出向く場所でもあるわけです。
地下の美容室も、まだまだ営業続行。映画は見られないけど、パンや備品の仕入れついでに寄っていけるし。
だから、またね！も一緒に。
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